材質別特徴と取り扱いについて
【ステンレス】
【ステンレス】
◆ステンレスとは?
鉄を主成分にクロムあるいはクロムとニッケル等を添加した合金です.
●クロム・・・・非常に固い金属で,耐磨耗性,耐腐食性,耐熱性,離型性に優れています.
●ニッケル・・・固い中にも柔軟性(ねばり)があり,耐食性に優れている金属です.又,各種メッキの下地メッキに多く利用されています.このニッケルの含有量を増すことによって,耐食性がよくなります.
※例えば18−8ステンレスとは「鉄に18%のクロム+8%のニッケルを含んだ合金」を表します.
◆ステンレスという金属の特長
一般的に錆びにくいという性質を持っています.ただし,決して錆びないのではありません.しかし,比較的取扱いは簡単です.
18−8ステンレス等の高級ステンレスは耐食性にたいへん優れています.
◆ステンレスが錆びにくい理由
鉄に13%以上のクロムを添加した合金(ステンレス)を作ると,中の酸素によりその合金表面に不働態被膜と呼ばれる0.005μm 程度の極めて薄いクロム酸化物を主成分とする緻密な被膜ができ,この被膜によってステンレスの表面が覆われるため,錆びにくくなるわけです.
また,クロムの含有量を増やし,さらにニッケルやモリブデンなどを加えるとよりいっそう被膜の働きが改善強化され,耐食性が向上します.
したがって,13クロム系より18クロム系さらに18−8系のほうが耐食性に優れ,錆びにくいと言えます.※1μm(マイクロメートル)=1/1,000mm , 0.005μm=5/1,000,000mm
◆ステンレスの種類(一例)
●モリブデンステンレス(SUS−316など)
18%以上のクロムと,14%以上のニッケル,3%以上のモリブデンが添加されています.化学薬品工場の機械設備,原子力発電の冷却パイプ,石油のパイプラインなどに多く使用されています.
長時間ご使用のためには,ソース,マヨネーズ,漬物等は一週間程度で入れ替えて水洗いして下さい.
食品用ステンレス素材としては最も耐食性のある素材といえます.
以下弊社取り扱い商品です.
→モリブデンステンレス寸胴鍋 27〜60cm
→モリブデンステンレスキッチンポット 10〜33cm
●18−8ステンレス(SUS−304)
鋼に18%以上のクロムと8%以上のニッケルを添加したステンレスで洋食器に限らず,器物全般に現在最も多く使用されています.クロムの含有が多くなったため,酸化被膜が強固になり,13クロムステンレスより数倍錆びにくくなっています.しかも,ニッケルを添加したため堅牢となり,耐蝕性,耐久性が向上しています.
しかし,絶対に錆びないわけではありませんので,汚れは早めに落とし,錆びやすいものとの収納は避けて下さい.
→18−8ステンレス寸胴鍋 27〜60cm
→18−8ステンレス深型組バット 00〜16号
→18−8ステンレスキッチンポット10〜33cm
→18−8ステンレスボール 11〜60cm
●18−0ステンレス(SUS−430)
普及タイプの洋食器に利用されており,鋼に18%以上のクロムを添加したステンレスのことです.錆びやすい鋼に,クロムを18%以上添加し表面に酸化被膜が作られ,錆び難く耐蝕性がよくなります.しかし,被膜は弱いため,水気や塩気,油分などは早めに落とさないと,錆びが発生しやすくなります.また,「もらい錆び」もしやすいので錆びた包丁や鍋などと接触させたままの収納は禁物です.
→18−0ステンレスボール 13〜60cm
●19−0ステンレス(SUS−430J1L)
19%程度のクロムを含んでいるため16%程度の18−0ステンレス(SUS−430)よりもかなり耐蝕性が向上しています.耐蝕性に関しては 18−8ステンレス(SUS−304)とほぼ同程度を誇ります.磁性が強いため,電磁調理器(IH)に非常に適している材料です.
→19−0ステンレス両手鍋【円付鍋】 27〜45cm
→19−0ステンレスパッキン付寸胴鍋 16〜33cm
◆取扱い方法
18−8ステンレスの場合普通の状態でお使いいただければほとんど錆びません.ただし,食物や食用油を長時間付着させておいたり,洗浄液や食塩水に長時間入れたりしますと,やはり,錆びが発生します.なるべくすみやかに洗浄し,乾燥させてから保管しておけばほとんど錆びは防げます.
ステンレスの素材(18−0,18−8等の添加素材やその配合率)により,錆の発生や腐食の度合いが違います.素材別にその取扱いによって容易に錆が発生する場合があります.必ず素材を確認してそれに応じた取り扱いをしてください.
◆保管方法
ステンレスの不働態被膜は,空気中の酸素により自然に形成される物です.従って保管時もなるべく空気に触れさせておいてください.密封するのは避けてください.この点は銀メッキ食器の保管方法とはまったく反対ですので,両者を一緒に保管しないでください.
◆洗浄方法
食物や油分が付着したままになっていると錆の発生原因になります.従って使用後の鍋やバット等はできるだけ汚れを落としてください.
また,下記のことに注意してください.
・クレンザー,漂白剤は絶対に使用しないでください.
・すすぎをして完全に洗剤を洗い流してください.この時洗剤分が残っていると,乾燥時に不働態被膜を覆ってしまいます.
・水気を良く切って,十分乾燥させてください.当然のことながら水分は錆の原因となります.
◆錆びた場合のお手入れ方法
良く錆を落とさなければなりませんが手作業でやるのはたいへん難しく,機械研磨が必要です.キズや錆はきれいに取れます.しかし,腐食がすすんだ深いキズや穴がある場合,特にナイフの場合は刃先に深い穴が空いた物やハンドルに穴が空きそうな物は,研磨をしても直りません.